【賃貸編】不動産屋はお客をどのように見ている? 大家さんと入居者をランク付け

 
では問題です。賃貸不動産業者が事業を始めるにあたって、最初に必要になるお客さんといえば?
 
答えは大家さん。貸し出すアパートや賃貸住宅がないと、事業をスタートすることができないからです。
 
 
賃貸不動産業者、つまり、賃貸物件の管理をメインとしている管理業者にとって、大切なお客様といえば大家さんです。
 
ビジネスモデルを考えれば完全に納得がいく話ですが、賃貸管理業では、管理するアパートや賃貸住宅がなければ何もできません。管理物件があれば、入居者がひとりふたりいなくなっても、代わりの入居者を探すことは可能です。
 
賃貸管理業では、「大家さん」と「入居者」という2種類のお客さんがいますが、どちらが大切かと聞かれると、大家さんが答えです。
 
以前、賃貸住宅を仲介してもらう際の仲介手数料は、本来家賃の0.5ケ月分である、という内容を解説しました。法令の本則では、大家さんと入居者それぞれから0.5か月分をもらい、両方合わせて1か月分の家賃相当額というのが、仲介手数料の上限です。
 
ところが、大家さんからはゼロ円、入居者から1か月分もらう、という運用があたりまえになっていました。この背景にも、大家さんは大事なお客様だから、入居者から1か月分まるまる徴収しよう、という意図があったと思います。最近少なくなりましたが、「礼金」という根拠不明のお金を取るシステムも、それを裏付けています。
 
ただし最近では、大家さんからは仲介手数料ではなく、広告費という名目でお金を受け取ることも一般化しています。業界ではADと呼ばれるものですが、たとえばADを2か月分つけることで不動産屋が積極的に営業する、といった効果を狙っています。
 
入居者より大家さんが有利な理由は、もうひとつあります。
 
ひとりの大家さんと、ひとりの入居者、それぞれが賃貸管理業者にもたらしてくれる利益は、大家さんが圧倒的に大きい、という事情です。
 
たとえば12室のアパートがあるとします。事例を単純化するために、全部の部屋の家賃が5万円だったと想定します。賃貸管理料は家賃の5%と仮定します。
 
すると大家さんがもたらしてくれる利益は、1カ月当たり3万円です。
 
一方、入居者一人あたりだと、1カ月2500円です。
 
そう考えると、入居者がかなり不利だということがわかります。もちろん、入居者は契約時に仲介手数料を支払っていますが、最近では大家さんがADを支払って賃貸業者を支援するケースも多く、そうなると完全に大家さんのほうが、大きい利益をもたらしているといえます。
 
さらに、大家さんが有利な理由があります。リレーションの強さです。
 
大家さんの中には、賃貸管理業者と積極的に交流し、定期的に飲みに行く人もいます。とくに、所有物件を増やしたいという、投資マインドの強い大家さんは、不動産業者との交流に積極的です。そこまでしない大家さんでも、時々は不動産業者の事務所を訪れますし、何十年来の付き合いというケースもあります。
 
リレーションの強さでも大家さんが有利です。
 
もちろん、中には親切な不動産営業マンがいて、部屋探しの際に親身に対応してくれることもあります。でも、そんな親切な不動産営業マンでも、究極の選択を迫られたら、大家の見方をします。
 
そこで、賃貸物件を借りる際は、不動産屋は自分の味方をしてくれないという前提で対応する必要があります。
 
前回少し解説した不動産投資の話でも、必要なのは「知識」と「自分で調べる姿勢」でした。
 
賃貸不動産を借りる場合も同じです。不動産の知識を身につけたうえで、athomeなどのポータルサイトでしっかり相場を調べておき、契約の条件についてもきちんと知ったうえで、不動産屋に連絡をするのがよいと思います。